青い秋の空がひろがる。それを映した群青の海も秋。
2023年の夏は暑かった。ずっと炎が点きっぱなしの夏だった。台風も特に少ない年で、一瞬でも冷める日がなく、暑さは休まなかった。
夏野菜の不作は(オクラは例外として)我が畑だけでなく全国的な現象だった。夏の酷暑の余波で開花が遅れていた金木犀がやっと香り始めた。最高気温24度、最低気温14度になってやっと秋が感じられるようになった。
夏野菜が終わり、次の季節の為の土つくりを終えた畑に冬野菜の高菜、かつお菜、セニョールスティック、キャベツ、セロリの苗を植える。ほうれん草、小松菜、大葉春菊の種を蒔く。ニンニクの植え付けも終え、あとは玉ねぎの苗を11月初旬に植え付ける。
海に近いので昼間の日差しで温まった海水の靄が、13度近くに温度が下がる明け方には作物には嬉しい露になりやすい。昨夜半、何か音がすると思ったのは夜の通り雨のようだった。わずかでも金木犀の花の芯を湿らせた雨が香りを薄めてしまうのでは…とうつらうつら寝入りながら思っていた。案の定、朝になるとあのわずかな雨でも香りは少し流されてしまって昨日より庭に漂う香りは薄くなっていた。予報では向こう一週間晴天が続く。まだ満開を迎えていない金木犀なので残りの蕾が開花し、香りを保ってくれるだろう。楽しみな数日を送れる。
以前、土地の古老の農夫が話してくれた。
「足音で育つちゅうて言います。」
植えた作物は何をする訳ではないが毎日見廻りをするその足音を聴いて育つ----という言葉は未だに強烈な印象で残っている。
海や川、山や空に息づいている自然の呼吸に合わせて食べ、息をし、眠り、物事を考える時間の流れ---それが近年さらにさらにせせこましくなった。L.コールというザルツブルグ生まれの社会学者が
「もし断崖の絶壁に立ったならば進歩の唯一の分別ある形は後ろに進むことだ。」
「進歩、成長、開発、発展の果てに我々が手にしたものと言えば各種『危機』ばかりだ。」
と言う主張の論文を発表して「気を狂わせるような愚作」とロンドンのエコノミスト誌から嘲笑されたのは1960年、それから60年間、その後も人類は前へ前へ、先へ先へ発展し続け2023年を迎えている。
今、真っ最中、駅周辺の新たな再開発で超高層ビル群がそのうち品川に出現するだろう。それぞれの街の特徴が完全に失われ、渋谷か新宿か虎ノ門か品川か識別がつかなくなったモンスターのような東京の都市群。2023年の世界の最先端を担っている人がその場所で激しく、毎日途絶えることなく深夜まで営みを続け切っている。
もうすぐハゼの葉が秋の晴天の空を燃やすように赤く染まる。
我が家の白壁に反映したハゼのその紅葉の色は一帳の絵のような趣を家に与える。過疎地の有難みを感じながら群青の秋の空の下に鎮座する米山(家の裏手にそびえる500m位の山)に手を合わせる。
2023年の夏は暑かった。ずっと炎が点きっぱなしの夏だった。台風も特に少ない年で、一瞬でも冷める日がなく、暑さは休まなかった。
夏野菜の不作は(オクラは例外として)我が畑だけでなく全国的な現象だった。夏の酷暑の余波で開花が遅れていた金木犀がやっと香り始めた。最高気温24度、最低気温14度になってやっと秋が感じられるようになった。
夏野菜が終わり、次の季節の為の土つくりを終えた畑に冬野菜の高菜、かつお菜、セニョールスティック、キャベツ、セロリの苗を植える。ほうれん草、小松菜、大葉春菊の種を蒔く。ニンニクの植え付けも終え、あとは玉ねぎの苗を11月初旬に植え付ける。
海に近いので昼間の日差しで温まった海水の靄が、13度近くに温度が下がる明け方には作物には嬉しい露になりやすい。昨夜半、何か音がすると思ったのは夜の通り雨のようだった。わずかでも金木犀の花の芯を湿らせた雨が香りを薄めてしまうのでは…とうつらうつら寝入りながら思っていた。案の定、朝になるとあのわずかな雨でも香りは少し流されてしまって昨日より庭に漂う香りは薄くなっていた。予報では向こう一週間晴天が続く。まだ満開を迎えていない金木犀なので残りの蕾が開花し、香りを保ってくれるだろう。楽しみな数日を送れる。
以前、土地の古老の農夫が話してくれた。
「足音で育つちゅうて言います。」
植えた作物は何をする訳ではないが毎日見廻りをするその足音を聴いて育つ----という言葉は未だに強烈な印象で残っている。
海や川、山や空に息づいている自然の呼吸に合わせて食べ、息をし、眠り、物事を考える時間の流れ---それが近年さらにさらにせせこましくなった。L.コールというザルツブルグ生まれの社会学者が
「もし断崖の絶壁に立ったならば進歩の唯一の分別ある形は後ろに進むことだ。」
「進歩、成長、開発、発展の果てに我々が手にしたものと言えば各種『危機』ばかりだ。」
と言う主張の論文を発表して「気を狂わせるような愚作」とロンドンのエコノミスト誌から嘲笑されたのは1960年、それから60年間、その後も人類は前へ前へ、先へ先へ発展し続け2023年を迎えている。
今、真っ最中、駅周辺の新たな再開発で超高層ビル群がそのうち品川に出現するだろう。それぞれの街の特徴が完全に失われ、渋谷か新宿か虎ノ門か品川か識別がつかなくなったモンスターのような東京の都市群。2023年の世界の最先端を担っている人がその場所で激しく、毎日途絶えることなく深夜まで営みを続け切っている。
もうすぐハゼの葉が秋の晴天の空を燃やすように赤く染まる。
我が家の白壁に反映したハゼのその紅葉の色は一帳の絵のような趣を家に与える。過疎地の有難みを感じながら群青の秋の空の下に鎮座する米山(家の裏手にそびえる500m位の山)に手を合わせる。